吸水ショーツと布ナプキン、違いを徹底解説!

こんにちは!KAANE代表の伊澤ゆくです。

ショーツ一体型の布ナプキンの開発をしているんだ〜と友人に話すとよく聞かれること。

友人「いいね!それって最近よく見る吸水ショーツのこと〜?」
私「うーーん、それとはちょっと違うんだよね。」
友人「(どう違うの?)」

こんな感じで友人の頭上にハテナマークがたくさん浮かんでいるのが見える気がしています。笑

紙ナプキンと布ナプキンだったら紙で作られているのか布でできているのかで違いは一目瞭然なので分かりやすい。
でも吸水ショーツは同じく布でできているし、同じくショーツ型です。
ぱっと見は違いなんてわからなくて当然だなぁと思ったんです。

かく言う私自身も、ずーっと解説の記事を書きたいと思っていたのにできなかったんです。
なぜなら私もその違いを完全にわかってなかったから。

だけど、先日とある方にお話を聞くことでこれが理解できたのです。
長年の疑問がわかってとてもすっきり!

早速本題に・・・
その前にひとつ。
私はどんな生理用品も選択できる今の環境にとても感謝しています。
今はメインで布ナプキンを使用していますが、吸水ショーツはじめ紙ナプキンなどの生理用品も使いますし、「これは使うべき、使わないべき」という気持ちは一切ありません。

KAANEは布ナプキン由来のものなので、布ナプキンの良さやデメリットも伝えつつ、その他の生理用品と比較することで適材適所のアイテムが選べるお手伝いになればいいなと思ってこの記事を書いています。

それでは、早速参りましょう!

なんで吸水ショーツはあんなに吸水量があるのか

私ずっと疑問だったんです。
なんで吸水ショーツってあんなに水分をためておけるんだろう?
最近は日中履きっぱなしでも安心!というものもたくさん。

例えば紙ナプキンだったら・・・多量の水を吸収できるっていう高吸水性ポリマーを使っているからなんだろうな〜。
紙おむつと同じなのかな〜となんとなーくわかるんですが、

布なのになぜ!?
吸収した水分はどこにいくの!!??

とふと気になったが最後。
あらゆる吸水ショーツを扱っているブランドのページで答えを探しましたが見つかりません。
フェムテックの展示会に足を運んで吸水ショーツが展示されているブースに立ち寄ってご担当者の方にお聞きするも残念ながら欲しい回答は得られませんでした。

そんな時、ある布屋さんに出会いました。
後にサンプル作りを一緒にしてくださることになったメーカーさんです。

布のプロなら知っているに違いない!
私は初対面にも関わらず、KAANEのプロジェクトの話を伝え、社長さんに聞きまくりました。

吸水ショーツと布ナプキンの違い① 素材

吸水ショーツについて、お話をお聞きしてわかったのは、

・使っている素材が化学繊維でできている
・でこぼこした構造の糸を作ってそれを編んで布にしている
・水分がたくさん入るような形に設計されている

ということでした。

糸の断面を見るとこんな感じなんだそうです。
なるほど、これであればこの糸のでこぼこの隙間に水分をためておけるイメージができます。
人工的に糸を設計できるからこそ、吸水量に特化した素材ができるわけです。

それと比べてでは布ナプキンはどうなのか?

布ナプキンはコットン素材でできています。
コットンはワタという植物の種子の周りについている繊維
自然素材の綿からできた糸を織って布にしています。
布ナプキンには、吸水機能が優れているという点が素材として選ばれている理由。

ちなみにコットンの断面って真ん中が空洞でドーナツ型になっているそうなんですね。
その空洞に空気が含まれることによって保温性が保たれる/揮発性がよいのがコットンの良さ。

布ナプキンに限らず、下着や肌着、タオル生地などにコットンが使われるのにも納得です。

ということで吸水ショーツと布ナプキンの違いひとつ目のおさらいです。

吸水ショーツ:吸水量に優れた化学繊維のポリエステルを使っている
布ナプキン:吸水機能に優れた自然素材のコットンを使っている

簡単にまとめるとこんな感じでしょうか。

このことでわかるのが、吸水量を期待して布ナプキンを選んでしまうと吸水ショーツほどの効果が得られずがっかりしてしまうということ。

逆にポリエステルで作られている吸水ショーツは、コットン地のショーツほどの通気性や快適さは実感しずらい、とも言えると思います。

吸水ショーツと布ナプキンの違い② 生理への考え方

吸水量に特化した吸水ショーツ。
なぜ、吸水量が多いといいのでしょう?

私なりの考えをまとめてみました。

1)吸水量が多いと変える回数が少なくて済む。
2)だから、長時間生理のことを考えずに済む。
3)つまり、いつもと同じように活動的に過ごせる!

吸水ショーツに限らず、これまでに開発されてきた生理用品は「できるだけ生理中もライフスタイルを変えたくない。アクティブに過ごしたい。いつも通りの自分でいたい。」というニーズに応えるものなのかなぁと思います。

これらの優れた生理用品が商品としてこの世に誕生したことは女性を活動的にし、社会への進出を促し、時間と自由を与えることにつながりました。

生理を忘れることができる、という理想のもと開発されたり、使われる傾向にあるのかなと思いました。

一方、布ナプキンは真逆です。
先述の通り、吸水量は現代の生理用品に比べたら最低レベルと言ってしまってもいいかもしれません。

ただ、前回のブログでもテーマに取り上げた通り、布ナプキンは使っていると経血で布が濡れた感覚がはっきりとわかります。
濡れた布が体に触れていたら気持ち悪いですよね。

1)だからすぐに新しい布に変える
2)濡れたら気持ち悪いから出る前にトイレに行く
3)出そうになったらちょっと我慢してみる

これらを必然的で意識的にやらざるを得ない環境に置かれるわけですが、人とは素晴らしいもので、その環境下に慣れるために最初は意識的でもだんだんと無意識下でもそれが習慣化されるんです。
つまり、排泄と同じように溜めて出すということができるようになってくるんですよね。
それもびっくりするほど早く習得できたりします。

現代でこそ月経血コントロールという言葉が出てきましたが、使い捨て紙ナプキンが開発される前の日本の女性はみんなこれが当たり前だったそうです。
(というかそうするしかないですもんね。汗)

生理期間に生理を思いっきり肌で感じながら過ごすのは時には煩わしさもあります。
しかし、体のちょっとした変化に気づくこともできるんです。

例えば、
今月は生理が重いな・・・無理してたかな? → 免疫力が落ちてるかも、早めに寝とくか。
経血の量が多い気がする?なんでだろう? → 貧血気味になってるから立ちくらみに気をつけよう。

とか、逆に

そういえば最近生理痛が軽い気がする!
三寒四温が続く季節だから急な寒さに備えておくのが吉だな

などアテンションが自分に向けられるツールなんですね。

おさらいすると、

吸水ショーツ:生理を忘れていつもと同じように過ごせる
布ナプキン:生理期間は自分を見つめて無理なく過ごせる

こんな感じにまとめてみました!

まとめ

女性とは不思議なもので、例えば楽しみにしていた旅行や張り切っていたプレゼンが生理と重なるとめちゃくちゃ落ち込む癖に、
生理中もアクティブに過ごそう!という生理用品のCMを目の当たりにすると「生理中くらいゆっくりさせてよ!いつでもアクティブじゃなきゃいけないんかい!」と憤ったりするもんです。笑

だけど私は思うんです。
女性とは、ステイブルではいられない性質なのだなぁと。
ステイブルとは「安定した」という意味。

「安定していない性質の私たち」と、そこまで直接的な言い方を自分にしたくなくてステイブルという言葉にしてみました。

ある夕方、長男と歩いていて満月を見上げました。
すると「なんでこの前と形が違うの?」と聞いてくるので私はこう答えました。

「お月様は本当はいつもおんなじ形なんだよ。だけどいつでも見え方は違うのよね。」

あー、まさにこれって私たち女性のことみたいだわぁと思ったんです。
私という元の形は、きっといつだってまんまるで安定しているんです。
だけど、周りには違う形を見せている。それは時や場所によって変わったりする。
一瞬たりとも同じ形を見せ続けることなんてないのだ、と月と自分を重ねるとなんだかミステリアスでクールじゃん、って思えたりしました。

すでに先代によって築き上げられた現代社会にいると、感情的だとか、不安定だとか、言われてなくても勝手に感じがち。
だから私自身もいつでも同じように、安定できることを良しとして、生理をなかったこととして過ごしてしまっていました。

時にはそれは大切な瞬間もあり、その選択肢をチョイスできることは素晴らしいんだけど、でも生理中はそんなに頑張らなくてもいい、という選択肢もあってもいいんじゃないかなぁと最近は痛感するようになったんです。

最近は、便利がゆえ頑張れちゃうツールばかりが身の回りに集まりやすい気がします。
布ナプキンはほんのひとつのきっかけですが、できるだけ自分を大切に、自分の声を聞くことを忘れずにいられる世界が当たり前になる未来をKAANEは心から期待しています。

最後まで読んでいただいてありがとうございました♡

夜用布ナプキンショーツKAANE代表 伊澤ゆく

参考文献:
田中ひかる(2019)『生理用品の社会史』KADOKAWA
三砂ちづる(2004)『昔の女性はできていた―忘れられている女性の身体に“在る”力』宝島社
宮崎道男(2010)『オーガニックコットン物語』コモンズ